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    C.3.3 その他の循環器疾患

    ここでは、心臓手術後、経カテーテル大動脈弁植込み術(TAVI)後、Stanford B 型急性大動脈解離の3つを挙げる。いずれも日本のガイドラインに段階のあるプログラムが示されている。心臓手術後には数値の基準があるが、TAVI 後と大動脈解離は日数を目安にしたプログラムである。

    表 C-49 その他の循環器疾患のプロトコル

    区分 文献 P(対象) I(プロトコル・種類) C O・結果 結論
    G [1] JCS/JACR 2021 心臓手術(冠動脈バイパス術、弁膜症手術)後(対象者数の記載なし。アスリート:記載なし) 離床の開始基準とステップアップ基準による段階的な離床。混合(標準の日程は術翌日に立位・歩行、4日目に歩行自立) ― 心臓手術後の早期離床を考慮すべき(COR IIa、LOE B)。冠動脈バイパス術後と弁膜症術後の運動療法を推奨(COR I、LOE A)。胸部ベルトを日常的に着けるべきでない(COR III〔Harm〕、LOE C) 有効
    G [1] JCS/JACR 2021 TAVI 後(対象者数の記載なし。アスリート:記載なし) 開心術後と同じ段階的な離床。time-based(日数の目安) ― 周術期の心臓リハビリテーションを推奨(COR I、LOE C) 有効
    G [1] JCS/JACR 2021、[2] Niino 2009 内科治療の適応となる合併症のない Stanford B 型急性大動脈解離(Niino:210名。アスリート:記載なし) 心拍数と血圧を管理しながら、日数で安静度を上げるプログラム。time-based 7日間の安静と降圧薬の静注(Niino) ガイドラインは考慮すべきとする(COR IIa、LOE C)。Niino では、呼吸器合併症とせん妄が減り、早期死亡は同程度(従来群 3.3%、パス群 2.5%)、1か月後の大動脈径は両群とも拡大しなかった 有効

    心臓手術後の段階的な離床(JCS/JACR 2021)

    Section titled “心臓手術後の段階的な離床(JCS/JACR 2021)”

    表 C-50 段階と移行基準(心臓手術後)

    段階 時期の目安 主な介入 次の段階に進む基準
    離床の開始 術翌日(標準) 座位、立位、歩行を始める 開始基準:低心拍出量症候群(人工呼吸器・IABP・PCPS などの生命維持装置、大量のカテコラミン、カテコラミン投与下で収縮期血圧 80〜90 mmHg 未満、四肢の冷感とチアノーゼ、代謝性アシドーシス、尿量 0.5〜1.0 mL/kg/時未満が2時間超)、スワン・ガンツカテーテルの挿入、安静時心拍数 120/分以上、体位変換だけで血圧が下がる、血行動態が不安定な不整脈(新たな心房細動、Lown IVb 以上の心室不整脈)、安静時の呼吸困難や頻呼吸(30回/分超)、術後出血の傾向、のいずれもない。利益が大きいと判断すれば、すべてを満たさなくても十分な監視のもとで離床してよい
    段階的な離床 術後4日目に歩行自立(標準) 歩行距離を延ばす ステップアップ基準:①胸痛、強い息切れ、強い疲労(Borg 13 超)、めまい、ふらつき、下肢痛がない、②チアノーゼ、顔面蒼白、冷汗がない、③頻呼吸(30回/分以上)がない、④運動で不整脈が増えず、心房細動にならない、⑤運動で虚血性の心電図変化がない、⑥運動で血圧が過度に変化しない、⑦運動で心拍数が 30/分を超えて増えない、⑧運動で動脈血酸素飽和度が 90% 未満にならない。急ぎすぎは禁止で、状態に応じて変える
    運動療法 順調なら術後7日目から 運動器具による有酸素運動、下肢のレジスタンストレーニング 200 m 歩ければ始める。①発熱がなく炎症反応が改善している、②大量の心嚢液・胸水がない、③新たな心房細動がない、④貧血があっても Hb 8 g/dL 以上で改善傾向、を満たす

    TAVI 後の段階的な離床(JCS/JACR 2021)

    Section titled “TAVI 後の段階的な離床(JCS/JACR 2021)”

    表 C-51 段階と移行基準(TAVI 後)

    段階 時期の目安 主な介入 次の段階に進む基準
    立位 術翌日(ICU) 端座位、立位 日数の目安による(個人差がある)
    歩行 術後2日目(HCU または一般病棟) 足踏み、歩行 同上
    運動療法 術後3〜5日目 心リハ室での自転車エルゴメータ、トレッドミル 同上

    開心術後と同じプログラムで行えるとされる。房室ブロックが数日後に出ることがあるため、リハビリテーション中の心電図モニターが重要である。フレイルが多いため、身体機能と ADL に合わせた個別のプログラムが勧められている。

    Stanford B 型急性大動脈解離の早期リハビリテーション(JCS/JACR 2021、Niino 2009)

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    表 C-52 段階と移行基準(Stanford B 型急性大動脈解離)

    段階 時期の目安 主な介入(安静度) 次の段階に進む基準
    ベッド上安静 発症日 ベッド上で介助を受けて洗面、尿道カテーテル、清拭 日数による
    座位 1日目 自力での座位、ベッド上で介助なしの洗面 日数による
    ベッド周囲の歩行 2日目 ベッド周囲の歩行、室内のトイレ 日数による
    病棟内歩行 4日目 病棟内の歩行自由、病棟のトイレ 日数による
    院内歩行 7日目 院内の歩行自由、介助なしのシャワー ―

    この期間は、安静時に心拍数 60/分未満・収縮期血圧 120 mmHg 以下、運動時に心拍数 100/分未満・収縮期血圧 140 mmHg 以下を目標に管理する。ただしこれは管理の目標であって、段階を上げる基準としては示されていない。急性期(発症14日以内)や亜急性期に、破裂、臓器の灌流障害、疼痛の持続、コントロールできない高血圧、大動脈径の拡大が起これば、侵襲的治療の適応を考え直す。

    1. Makita, S., Yasu, T., Akashi, Y. J., Adachi, H., Izawa, H., Ishihara, S., Iso, Y., Ohuchi, H., Omiya, K., Ohya, Y., Okita, K., Kimura, Y., Koike, A., Kohzuki, M., Koba, S., Sata, M., Shimada, K., Shimokawa, T., Shiraishi, H., . . . Japanese Circulation Society/the Japanese Association of Cardiac Rehabilitation Joint Working Group. (2022). JCS/JACR 2021 Guideline on Rehabilitation in Patients With Cardiovascular Disease. Circulation Journal, 87(1), 155–235. https://doi.org/10.1253/circj.CJ-22-0234
    2. Niino, T., Hata, M., Sezai, A., Yoshitake, I., Unosawa, S., Shimura, K., Osaka, S., & Minami, K. (2009). Optimal clinical pathway for the patient with type B acute aortic dissection. Circulation Journal, 73(2), 264–268. https://doi.org/10.1253/circj.cj-08-0319

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