付録C リハビリテーションプロトコル一覧
終章 8.4 では、最適な介入手段の選択と組み合わせが難しいことへの1つの解決策として、リハビリテーションプロトコルを作り、類似した対象者に同一の介入を提供することを挙げたのであった。そしてプロトコルは基準重視プロトコル(criteria-based protocol)がよいだろう、とも述べた。本付録は、その具体例を対象集団ごとにまとめた早見表である。
プロトコルは、段階を進める決まりによって3つに分けられる。経過した時間で段階を進めるもの(time-based)、あるテストに合格したかどうかで段階を進めるもの(criteria-based)、その両方を求めるもの(混合)である。例えば「術後6週でジョギングを始める」は時間による決まりであり、「健側比90%以上の大腿四頭筋筋力があればジョギングを始める」は基準による決まりである。基準による決まりは、回復の速さが人によって違うことを前提にしている。速く回復した人を待たせず、遅い人を急がせない。他の診療科でいえば、投与日数ではなく検査値を見て薬を増減するのに近い。
どのプロトコルを載せるかは、次の規則で決めた。対象集団を中枢神経系、整形外科疾患、循環器疾患に分け、さらに細かく分類した。各分類で、プロトコルを名指しで推奨・評価した資料のエビデンスの区分が高いものから、最大3つを選んだ。区分が同じときは、criteria-based、混合、time-based の順に優先した。採ったプロトコルには、PICO の表に加えて、段階ごとの主な介入と、次の段階に進む基準を表で示した。基準は原文で確認できたものだけを載せている。
表を読むときに注意していただきたいことが3つある。第1に、プロトコル同士を直接比べた研究は少ない。多くのプロトコルは、ガイドラインや合意声明に示されているか、プロトコルを使った集団の経過が報告されているだけであり、C(対照)の欄が「―」になっている。区分が低いことは、そのプロトコルが劣っていることを意味しない。第2に、P(対象)は文献ごとに違う。脳卒中では、研究の対象者に占める脳梗塞・脳出血・くも膜下出血の割合を示した。整形外科疾患では、対象者がアスリートかどうかを示した。アスリートを対象にしたプロトコルは競技への復帰を最終段階に置くことが多く、そのまま高齢者に当てはめることはできない。第3に、「結論」は文献自身の結論であって、本書の判断ではない。
表 C-1 エビデンスの区分とプロトコルの種類
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| G | 著名な学会・公的機関のガイドライン、ステートメント、合意声明。推奨度とエビデンスの確実性を原文のまま添える |
| Lv1 | ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビュー・メタ解析 |
| Lv2 | RCT |
| Lv3 | 非ランダム化比較試験、コホート研究 |
| Lv4 | 症例集積、症例対照研究、横断研究、成績を報告したプロトコルの記述 |
| Lv5 | 機序に基づく推論、専門家の意見、ナラティブレビュー、成績を報告していないプロトコルの記述 |
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| criteria-based | テストや基準に合格したら次の段階に進む。経過時間は問わない |
| time-based | 決められた時間が経ったら次の段階に進む |
| 混合 | 一定の時間が経ち、かつ基準に合格したら次の段階に進む |
| 結論 | 内容 |
|---|---|
| 有効 | 対照と比べて効果がある、または推奨する |
| 効果不明 | 効果があるかどうか判断できない(証拠の確実性が低い、結果が一致しない) |
| 無効 | 対照と比べて差がない、または推奨しない |
| 有害 | 害が利益を上回る |
| 記述のみ | 対照との比較がなく、プロトコルの内容や経過だけが示されている |
各分類の最初の表(PICO の表)の列は、区分、文献、P(対象)、I(プロトコルとその種類)、C(対照)、O・結果(アウトカムと結果)、結論である。続く表(段階表)の列は、段階、時期の目安、主な介入、次の段階に進む基準である。時期の目安は、プロトコルに時間の決まりがある場合だけ書き、ない場合は「基準による」とした。
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